img-0.jpeg Джимарай-хох (4776 m)、「4398」、そしてサウティスィ・ホフ (4473 m) の諸峰は、カズベクの西に位置し、カズベク雪原の尾根の一部を成し、ミダグラヴィン高原の東と南東を画している。

ジマライ・ホフは、北オセチアの山では最も高い。氷と岩壁の北壁は、オルジョニキーゼの町からよく見える。カズベクとシャウ・ホフ (4000 m) の白い頂上がその間に見える。

ジマライ・ホフ、「4398」、サウティスィ・ホフは頁岩とそれを貫くドレライトの岩脈および噴出岩から成り、かなりの氷河におおわれている。ジマライ西壁の岩稜は噴出岩から成る。

ジマライへの初登攀は、1935年にZ. ジャパリゼのグループによって西の岩稜ルートからなされた。

以降の記録として、

  • 1950 年、北オセチアの「メディック」登山チームがジマライに再び登攀。
  • 1955年、スジャエフがリーダーとなった北オセチアの登山グループが、ジマライ・ホフ - シャウ・ホフの縦走に成功。カテゴリー5Bのルートと評価された。
  • 1956年、ポリャコフ S. V. のグループがテプ鞍部から尾根伝いにサウティスィへ初登頂。

「4398」の無名峰には、今まで誰も登ったことがない。

ジマライ、サウティスィのピークとその間の雪と氷の尾根の美しさ(カルニスとナレディ〈棚氷〉が見られる)に惹かれ、「ロコモチフ」登山チームはこの縦走を敢行した。その記録は以下。

1日目

オルジョニキーゼの町から、ギゼリ、コバンを経由してブレムスベルク(索道用巻上機)まで自動車で移動。オルジョニキーゼからブレムスベルクまで30 km。ブレムスベルクで250 m登ったのち、ダルガウス村まで自動車で14 km。ジマラ村からは自動車は通じていないので、村から7 kmほど山道を進み、「バラニイ・ルブ」(羊の額)のふもとに到着。ここで一泊 (1)。この日の行程は長いものとなった。

2日目

「バラニイ・ルブ」に沿って、ギゼリ・ドン川の右岸を通る小道を進む。「バラニイ・ルブ」に達したのち、「バラニイ・ルブ」から流れ出す氷河の末端までたどり着く。ここでステップを刻んで氷河を渡り、谷の左岸に移動。氷河の幅はこの付近で20 m、傾斜は30°。

続いて、

  • 「バラニイ・ルブ」と崖をなす氷河末端部を回り込み、
  • ミダグラヴィン氷河に出る。

ミダグラヴィン氷河は、

  • ほぼ平坦で、小さい傾斜で、
  • 広い。
  • 最初はジマライ方面から東から西に流れており、
  • 次にゼイガラン・ホフを迂回するように南に大きく曲がる。

さらにこの氷河を進み、ジマライ西稜のふもとへ。この付近でミダグラヴィン山の辺りに差し掛かると、クレバスが多いため、ロープを繋いで進む。崖下の堆積した岩屑に近づき、さらにそれを500 - 600 m登って赤茶けた「バルディー」に到着。ここで二泊目 (P)。この日の行程は10 - 11時間。

3日目

二泊目のビバーク地を5:00に出発。天気は良いが、西の空に小さな雲が出ていた。コーカサスではこの年は夏の天気に恵まれなかったが、3日間の旅の間は幸い天候に恵まれた。この好調さに乗じて、全行程が良い天気に恵まれることを期待したい。

最初は岩屑の上を進む。右手に小川が見える。岩屑の傾斜は最大40°。岩屑を300 mほど進み、雪原に出る。ここを左に曲がり、氷渓 (R1) に入る。長さは25 mで、傾斜は45 - 50°。氷渓には岩が転石のように転がっている。ビレーは交互に行った。

さらに進路は稜線伝いに進む (R2)。稜線では中程度の難易度の岩稜と、氷雪の部分が入り混じる。岩稜の傾斜は最大60 - 70°、氷雪の部分は最大45°。岩稜と氷雪の双方に交互にビレー用の杭を打つ。アイゼンを装着して氷の上を進む。稜線を挟んで左右に小さな「ジャンダルム」(岩稜の突起)があるが、それを避けて通る。

最後に、45°の氷壁(厚さ5 cmほどの雪におおわれている)を100 mほど (R3) 登ったのち、最初の岩壁の基部に到達。氷壁はアイゼンと二本のピトン(氷壁用と岩壁用各1本)を使って突破。最初の岩壁は長さ100 mほど (R4)、傾斜は最大60°。岩壁用のピトン(2本)を使ってビレーをかけながら突破。

さらに、2番目の岩壁 (R5) に向かう。1番目と2番目の岩壁の間は、長さ5 - 7 mの狭い稜線となっている。2番目の岩壁はさらに急で、長さは150 mほど。岩壁を4本のピトンでビレーをかけて突破したのち、ルート上の最高点の少し左に到達。

岩壁の上には広くて緩やかな氷のくぼ地があり、

  • 西と南を岩で、
  • 東と北を雪と氷の吹き溜まりで 囲まれて風を防いでいる。氷を削って整地し、ビバーク地 (III) を設置。この日の行程は9 - 10時間。

4日目

出発。進路は東を向く雪と氷の尾根である。西側は断崖になっている。尾根にはカルニスがあり、2箇所の氷壁が見られる (写真あり)。

  • 1箇所目の氷壁の高さは15 m、傾斜は60° (写真でR6の箇所)
  • 2箇所目は傾斜50° (R7)

これらをアイゼンの前歯で踏み込みステップを刻みながら登り、広い尾根に出る (R9)。ここから頂上までは1.5時間。尾根を進む際は、カルニスのある西側に落ちないよう注意して進む。

頂上からは美しい景色が開ける。東にはカズベク、マイリ、スパルタクの氷の山々が聳える。下を見ればミダグラヴィン氷河が見える。惜しいことに天気が崩れ始め、眺めはそこそことなってしまった。サウティスィとジマライ - サウティスィ間の尾根はもう霧に包まれてしまった。南西の方角には厚い雲が湧き出している。しかしジマライ上空はまだ晴れている。降り始める前に速やかに下山する必要がある。

頂上から進路を下に向ける。尾根を下りる (RГ)。傾斜は40°。岩が見えてきたらそれに沿って下に降りる。傾斜は氷雪のままである。所々、薄い(10 cm以下)さらさらした雪におおわれている。アイゼンをつけて、ピトンにビレーをかけながら降りる(下山中に5本の氷壁用ピトンを打つ)。突風が強く、これが障害となった。尾根は下るとだんだん緩やかになってきた。下山は500 mほど。

続いて、緩やかな氷化した尾根に出る (RД)。周囲は霧に包まれ、視界は30 - 50 mほど。アイゼンをつけて進む。尾根は東にカルニスがあり、西は急な氷壁となっている。この尾根を300 mほど進むと、次第に尾根はナイフの切っ先のように細くなる。ここにはカルニスはない。文字通り尾根の線上を進む。尾根の表面は氷が薄く雪におおわれている。

さらに300 mほど進むと、風化した頁岩の尾根に出る (RЕ)。

  • 東に頁岩の壁が聳え、
  • 西は70 - 80°の急な氷壁となっている。

尾根の岩は風化して崩れやすく、非常に危険である。ビレーをしっかりとる必要がある。所々、まるで馬にまたがっているかのようになる。「ジャンダルム」は「正面突破」する。この岩稜を200 mほど進むと、再び雪と氷の尾根に出る (RЖ)。この尾根は高度差が小さく、400 mほどで「б」無名峰に至る。

この尾根は不愉快なもので、切れ味鋭く、カルニスが西にも東にもある。傾斜がきつい斜面の上を縁から0.5 - 1 mほど離れて進む。この斜面はこれより下に行くほどさらに傾斜がきつくなる。

「б」無名峰から「4398」頂上までは、小さなカルニスがある細い氷の尾根伝いとなる。ここを40分ほどで通過。頂上「4398」は風化した頁岩の岩峰である。ここから東に岩稜が続く。

「4398」からは、登ってきたルートを逆にたどって「б」無名峰に下り、さらに氷雪の斜面を下ってサウティスィと「б」の鞍部に到達。ビレー用の杭を2本打ちながら降りる (RЗ)。下山は400 mほどで、傾斜は35 - 40°。

鞍部では岩の上にテントを張り一泊 (IV)。この日の行程は9時間。

5日目

鞍部 (IV) からサウティスィ頂上までは、氷化した尾根を登る (RИ)。傾斜は30 - 40°。アイゼンをつけて進む。北西にミダグラヴィン氷河に面し、巨大なカルニスと断崖になっている。北東はサウティスィ氷河へと続く急な氷壁。尾根の上にはいくつものクレバスがあって進路を阻む。2箇所ほど、なめらかな氷のこぶがある。傾斜は40°。交互にビレーしながら突破(1箇所はアイスハーケン、1箇所はクレバスにアイスバンを差し込んでビレーポイントとした)。サウティスィ頂上は雪と氷の尾根で、南北に続いている。頂上の少し南、風化した岩の上にケルンがある。それに辿り着くには、幅0.5 mほどのクレバスを渡る必要がある。

下山は北西の尾根伝い (RК)。この尾根は北にカルニスと崖になって落ちている。最初は200 mほどザラメ雪の緩やかな尾根(傾斜35°)で、所々に狭いクレバスがある。その後、傾斜が55°に急になる (R13)。ここは長さ200 mほどで氷の斜面。ピトンを打ちながらステップを刻んで進む(6本の氷壁用ピトンを打つ)。さらに下ると、再びザラメ雪の緩やかな尾根(傾斜30°)に出る。ここを150 mほど下ると、幅1 mほどのクレバスがあるので、これを渡ってテプ鞍部に至る。サウティスィの縦走 (IVからの下山) に7時間。

テプ鞍部はサウティスィとミダグラヴィンの間の尾根にあり、グルソ(南オセチア)の谷とミダグラヴィン高原を結んでいる。テプ鞍部からの下山は、まず鞍部にあるケルンの真下に、風化した頁岩の非常に急な岩壁がある (R14)。ここを70 mほど下ると、アイゼンをつけてさらに氷化したザラメ雪と氷の上を下る。途中で2本の氷壁用ピトンを打ち、ビレーをとりながら左に下る。さらに氷河の岸のクレバスを渡って、テプ鞍部直下の氷河の平坦な部分に出る。この氷河はテプ鞍部とサウティスイ北壁からの雪崩によって出来たもの。ここからミダグラヴィン高原に下りるには、まず傾斜45°の氷壁を下る必要がある。さらに左に曲がりつつ、幅1.5 mほどのクレバスをいくつか通り抜けて氷河に下りる。ミダグラヴィン氷河に出たのちはしばらくロープを繋いで進み、ミダグラヴィン山の辺りからはロープを解いて、「バラニイ・ルブ」まで下る。「バラニイ・ルブ」を通り過ぎ、氷河末端部を渡ってギゼルドン川の右岸に移動。ここから小道をたどって「バラニイ・ルブ」のふもとに下山。ここで野営。

6日目

出発。7 kmほど歩いてジマラ村に下山。その後自動車でオルジョニキーゼに戻る。

ジマライ・ホフへの登頂はカテゴリー4Aのルートと評価されている。下山となるサウティスィからの下山はカテゴリー4A。またジマライからの下山とジマライ - サウティスィ間の尾根の難易度を考えると、当グループはこの縦走ルートをカテゴリー5Aと評価するべきと考える次第である。

4日目と5日目は天候に恵まれず、良好な写真を撮影することができなかった。よって、このルートの写真は多くない。

記:ツィブキン 1958年9月25日

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ジマライ - 「4398」 - サウティスィ縦走ルート

西稜からのジマライ・ホフ登攀ルート ジマライ・ホフ 4776 m

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ジマライ稜線の眺め(二泊目 (III) からRЖ区間を望む)

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ダンチェンタル尾根から見たサウティスィ

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出典

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